シェイプ・オブ・ウォーター 小説版 感想
1960年代のアメリカで、
機密機関で働く喋れない清掃員のイライザが、研究対象である魚人のような生物と交流(意味深)するというストーリーです。
映画では描かれなかった各登場人物の過去と内面を深く掘り下げてあり、
ストリックランドはいかにしてあんなパワハラモラハラ人間になったのか、
なぜ美人妻がいながらイライザに惹かれたのか、
全て恵まれているように見えるストリックランドの妻レイニーの苦悩、
イライザの親友でゲイのジャイルズの過去、
親友ゼルダの夢、
ロシア出身で優秀なホフステトラー博士の苦しい立場
など、ストリックランド含め皆苦しい立場に置かれています。
ストリックランドにだけは同情したくないけど。
さらにあの人(?)の内面描写も!!?この文体と訳には注目です。
魚人に恋するというところは共感できないんですが、
清掃員のバイトをしたことがあるのでその部分はめちゃくちゃ共感しました。
ブラック労働のもと育まれた友情は最高ということです。
映画同様エロ・グロ・暴力・汚い描写もあり、食事中の方は注意です。
映画とは設定が違うところもあり、
私が好きな"How!?"のシーンは残念ながら小説版にはありませんでした。
また、映画版では解釈が視聴者に委ねられているあの部分が
小説版でははっきり(?)書いてありました。
あの人物とあの人物が会っていたとは。
しかもお互いに影響を与えている。
物語終了後に是非再会してほしいです。
文章と翻訳も素晴らしく、
普段洋画や翻訳ミステリとかが好きなんですが、
久々に本で非日常感を味わえました。
画家が出てくるだけに情景描写も表現豊かで、
へぇ〜、(わざわざ)そんな表現をするんだ。という面白い言い回しもたくさん出てきました。
ただ、序盤のストリックランドがジャングルで魚人(ギル神)を捕まえてくるところがやたら長くて汗臭さが伝わってきて内容的にもしんどかった...ストリックランドの苦労の描写が必要なんだろうけど
(こういうところのことなのか、「無駄な描写が多い」てアマゾンレビューで怒っている人がいたw)
暑い日に読めば冷房とお風呂のありがたみがさらに分かります。
本はとっても厚みがあって、お得ですよ。(本は紙派)
重くて持ち運びに適さないこともあり、少しずつ読んでいましたが
半分を過ぎたら一気に読んでしまいました。
読み終えたら必ずまた映画版を観たくなると思います。
サムソンとデリラのところも聖書で該当箇所を読んでおかなければ。