Magical Tiger

食べ物、語学、音楽など 私の趣味の雑記ブログです。

ドラマ「黒蜥蜴 -BLACK LIZARD-」の感想

年末に家族で折り紙をしているときにふとBSをつけてみると、

番組表に「黒蜥蜴」の文字が!

最初の数分は見逃しましたが、敬愛する佐野史郎さんも出演されていたので*1即録画しました。

少しずつ見て、今日見終わったので感想を書きます。

 

私と江戸川乱歩

私が初めて江戸川乱歩と出会ったのは、小学校5年生のときで

図書館でポプラ社の少年探偵シリーズを全巻読み、

そのおどろおどろしい世界に魅せられました。

人が生きたまま底なし沼に沈んでいくところや、

人の上顎と下顎を両手で持って引き裂くという殺害方法が出てきて

子供ながらにこれ小学校にあっていいのかしら?と思っていました。

その後~大学1年生にかけて、子供向け以外のほとんど全部の作品を読んだと思います。

好きな作品は 心理試験、人でなしの恋、鏡地獄、お勢登場、パノラマ島奇談、陰獣(淫獣ではない)、孤島の鬼などです。

昔のドラマ版や美輪明宏さん版は残念ながら未見です。

すごく好きだけど全てはチェックしていない、そういうところある私

 

 

感想(ネタバレあり)

 

 

 

 

このドラマの予備知識無く見始めたのですが、まさかの近未来設定。

原作を読んだのはだいぶ前なので結構忘れてしまっているんですが、

原作を思い出すまでもなくだいぶ話が違う・・・!

 

あらすじ(NHK HPより)

ハッキングやサイバーセキュリティーをかいくぐるハイテク犯罪が当たり前の近未来。探偵・明智小五郎永山絢斗)は大富豪・岩瀬庄兵衛(中村梅雀)から誘拐予告された娘・早苗(福本莉子)の身辺警護を依頼される。立ちはだかるのは高価な宝石を巧妙な贋作とすりかえる謎の怪盗・黒蜥蜴。早苗をかくまうと名乗り出たホテルオーナー・緑川婦人(りょう)こそ黒蜥蜴と見破り誘拐を防ぐが、ホテル全体に仕掛けられたトリックに阻まれ、取り逃がしてしまう。しかしその時、怪盗と名探偵は密かに恋に落ちていた。早苗を「人間椅子」のトリックで奪われながらも黒蜥蜴を追い詰めていく明智はやがて黒蜥蜴の悲しい過去と驚くべき正体を知る。謎が謎を呼び、禁断の恋にゆれながら、鑑賞者のいない黒蜥蜴の秘密の美術館で怪盗と名探偵は最後の対決を繰り広げる。勝者は果たして誰か。

 

 

・AIのマリアって、誰!?

上半身だけで、マネキンみたいな顔の上にホログラムか何かで人間の顔を投影しているみたいで、スリープ状態になるとそれがオフになります。

 

このわざとらしいサイバーパンク感・・・

私は思いました

「ノリが天才てれびくん内のドラマだ」と!(良い意味で)

懐かしい~

「魔界探偵」が好きでした。

 

こういう別のジャンルと乱歩作品を合わせた翻案はK-20が最初なんでしょうか?

 

 

・犯行予告のカードのフォントはもしかしてポプラ社版と同じでしょうか?

特集ドラマ 黒蜥蜴(くろとかげ)-BLACK LIZARD- - NHK

予告編の0:58のところです。同じだったら嬉しい。

単に昔の本のフォントなのかな。

 

・黒蜥蜴役にりょうさん

美しい~!首や鎖骨や肩のラインがやばい

江戸川乱歩でりょうさんといえば、映画「双生児」ですよね!

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双生児のサントラの「GEGENSATS」という曲が怖くて好きです。

 

・女中頭の房子

かっこいい。

房子さんと背景を合わせるとバフォメットに見えるシーンがありました。

 

・クローン問題

近未来なのは良いとして、江戸川乱歩でクローンやゲノムを出してくるとは驚きです。

黒蜥蜴一味の不幸な生い立ちが語られます。

研究所で寿命の短い欠陥クローンとして生まれ、焼却処分の直前で反抗し逃れたのが黒蜥蜴一味でした。

 

原作の黒蜥蜴は「美しいものを集めたい」という独善的で変態的な欲求で動いていたと思うんですが、このドラマ版では不遇な要素が足されたため

・生い立ちに対する復讐をする

・↑は建前で、本当は部下を守りたい

・完全な人間になりたい

・美術品も盗む

という忙しいことになっています。

美術品集めの動機が弱いんじゃないの?と最初思いましたが、

ダイヤ「エジプトの星」の中にあるデータが隠されているということで

これらの動機がまとめられていました。 

 

・あの作品のオマージュ?

色んなSF要素が詰まっていますが、早苗さんの台詞で

 ・お父様の私を見る目が、何か別のところを見ているような(うろ覚え)

 ・自主的な行動をしようとすると怒られる

この2つのセリフって、去年アニメになった、あの・・・!

あの作品自体もかなり他の作品のオマージュが入っていますが

本物の早苗さん(二代目)は亡き娘(初代)のクローンでしかも成功例なんだから

お父様は早苗さん自体を見てないといけないと思うんですが。

その先の"ビジネス"を見ていたってことなんでしょうか?

そうみたいですね。

 

・黒蜥蜴といえばあの美術館

問題の美術館のシーンがなくてちょっと残念でした。

あの、水槽のところとか・・・さすがに無理だったんですかね。

代わりにダンサーの大前光市さんが生ける美術品役として踊られていて

乱歩世界にぴったりの美しさでした。

 

・真のラスボス

 

 

・アクションがすごい

女性研究員の階段落ちとか、気合が入っています。

子供向けを意識してるのかな?と思いきや、結構人死にが多い…

そして爆発(えっ本物の絵画たちは・・・)。

 

・ロケ地が「カメラを止めるな!」の浄水場

 

・人はそのままで完璧である

出ました、テーマ!

人は完璧になれないといって苦しみますが、そのままで完璧なのだそうです。

私も自己肯定感が低いのでよく分かります。

自分には足りないものがあると強烈に思い、別の誰かになろうとしたり

 

 

それにしてもこの黒蜥蜴が最後に死んでしまうのは可哀想です。

原作の方はやってることがサイコすぎて残当という感がありましたが

 

 

 

人間椅子など乱歩っぽい要素もあり結構楽しめました。

小林くん可愛かった。

とにかくりょうさんが美しい。

 

小林くんの台詞で「前回の怪人二十面相の事件で・・・」みたいな台詞がありましたが

怪人二十面相の話もちょっと見てみたいです。

 

原作を読み返したいです。

 

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*1:特命リサーチ200Xのチーフだから、そして私もクトゥルフ神話が好きだからです